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技術情報・資料

ホルムアルデヒドの取り扱い方は

基本的な取り扱い注意事項・関係法規・規制を説明します。

ホルムアルデヒドの取り扱いについてはいくつかの法律で規制されています。

1. 特定化学物質障害予防規則

「特定化学物質障害予防規則」内の「(燻蒸作業に係る措置)第三十八条の十四」に「ホルムアルデヒド」が追加されました。
平成19年12月14日に「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令(平成19年政令第375号、以下「改正政令」という。)」が、平成19年12月28日には「特定化学物質障害予防規則等の一部を改正する省令(平成19年厚生労働省令第155号。以下「改正省令」という。)ほか厚生労働大臣が定める要件の一部を改正する件等」が公布又は公示され、一部の規定を除いて平成20年3月1日から施行又は適用されることとなりました。

この法改正で、労働安全衛生施行令上(別表第三)で第3類物質とされていたホルムアルデヒドは、より管理レベルが高い第2類物質に変更されました。この改正により医薬、実験動物関連において行なわれるホルムアルデヒドによる安全キャビネットの燻蒸殺菌、また薬理実験・解剖における標本の作製等、頻繁に使用するものの少量または一時的使用の取り扱いについて、現場での混乱や省令の解釈の混乱が見られました。

これを受け厚生労働省では、施設・設備のホルムアルデヒドガス燻蒸作業においては毎日行なう作業ではなく不定期の作業であるため、「特定化学物質障害予防規則」の「(燻蒸作業に係る措置)第三十八条の十四」に類似した作業と解釈することとし、同規則にホルムアルデヒドを追加し管理濃度等を定めた改定を行ないました。
(平成20年11月12日官報 労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(厚生労働158))

これによりホルムアルデヒドガス燻蒸は、「特定化学物質障害予防規則」の「(燻蒸作業に係る措置)第三十八条の十四」に即して実施することとりました。具体的には、燻蒸中のガス漏洩の有無の確認、漏洩の際に目張り等の補修、燻蒸中の立ち入り禁止およびその旨の表示、等が義務づけられます。

また燻蒸後の入室の可否については、濃度基準値0.1ppm以下を確認すれば良いということになります。また排気のため等で0.1ppm以上の濃度環境に入室する場合、防毒マスク等による防護が必要となります。この場合の濃度確認は法令に基づく作業環境測定ではない為、作業環境測定士に限らず誰が行なってもよいとされています。

詳しくは、厚生労働省HPを参考にしてください。

2. 毒物および劇物取締法

ホルムアルデヒド(ホルマリン、パラホルムアルデヒド)は、毒物および劇物取締法により劇物に指定されています。 この法律は、物質の製造販売流通保管において保健衛生上の見地から必要な取締を定めたものです。
事故時における応急処置について、以下次のような基準があります。

毒物及び劇物の運搬事故時における応急措置に関する基準

管轄 厚生労働省
昭和52.2.14 薬発第163号
改正 昭和60.4.5 薬発第375号
改正 昭和62.9.12 薬発第784号

ホルムアルデヒド水溶液
別名:ホルマリン
(性状)無色の催涙性透明液体で刺激臭がある。ホルマリンはホルムアルデヒドを36.5~37.5w/w%含有し、一般にメタノール等を13%以下(大部分は8~10%)添加してある。低温ではパラホルムアルデヒドとなって析出するので常温で保存する。
措置 漏洩時 ・風下の人を退避させる。必要があれば水で濡らした手ぬぐい等で口及び鼻を覆う。
・漏洩した場所の周辺にはロープを張るなどして人の立ち入りを禁止する。
・作業の際には必ず保護具を着用する。風下で作業しない。 ・(少量の場合)漏洩した液は多量の水を用い、十分に希釈して洗い流す。
・(多量の場合)漏洩した液は土砂等でその流れを止め、安全な場所に導いて遠くからホース等で多量の水をかけ十分に希釈して洗い流す。
・この場合、濃厚な排液が河川等に排出されないよう注意する。
出火時 ・(周辺火災の場合)速やかに容器等を安全な場所に移す。移動不可能な場合は、容器及び周囲に散水して冷却する。
・(着火した場合)直ちに消火剤で消火する。水が一番有効である。
・(消火剤)水、粉末、泡、炭酸ガス
暴露接触時 人体に対する影響 ・(吸入した場合)蒸気はのど、気管支、肺などを激しく刺激し炎症を起こす。のど等を刺激するので多量吸入はまれである。 ・(皮膚に触れた場合)皮膚炎を起こす。たびたび接触すると、人より炎症が激しくなることがある。 ・(眼に入った場合)眼の粘膜を激しく刺激し催涙する。濃い液が入ると失明するおそれがある。
救急方法 ・(吸入した場合)直ちに患者を毛布等にくるんで安静にさせ、新鮮な空気の場所に移し、速やかに手当を受ける。 ・(皮膚に触れた場合)直ちに付着部又は接触部を多量の水で洗い流す。汚染された衣服や靴は速やかに脱がせる。速やかに医師の手当を受ける。 ・(眼に入った場合)直ちに多量の水で15分間以上洗い流し、速やかに医師の手当を受ける。
注意事項 ホルマリン自体は引火性ではないが、溶液が高温に熱せられると含有アルコール(メタノール)がガスとなって揮散し、これに着火して燃焼する場合がある。
保護具 保護手袋(ゴム)、保護長靴(ゴム)、保護衣、保護眼鏡、有機ガス用防毒マスク

毒物及び劇物の廃棄の方法に関する基準


昭和50.11.26 薬発第1090号
改正 昭和52.12.8 薬発第1416号
昭和60. 4.5 薬発第 373号
昭和62. 9.12 薬発第 782号
廃棄方法 1.酸化法
 1.多量の水を加えて希薄な水溶液とした後、次亜塩素酸塩水溶液を加えて分解させ廃棄する。
 2.水酸化ナトリウム水溶液等でアルカリ性とし、過酸化水素水を加えて分解させ多量の水で希釈して処理する。
2.燃焼法 アフターバーナーを具備した焼却炉の火室へ噴霧し焼却する。
3.活性汚泥法
〈備考〉次亜塩素酸塩を加える時、発熱するので処理液中のホルムアルデヒド濃度を2%以下とすることが望ましい。
生成物 -
検定法 吸光光度法
その他 -
ホルムアルデヒド(ホルマリン、パラホルムアルデヒド)は、特定化学物質等障害予防規則により第2類物質に指定されています。特定化学物質等障害予防規則により、ぼろ等の処理、漏えいの防止、床の構造、立入の禁止の処置、容器等の構造、救護が規定されています。

労働安全衛生法により、作業主任者の選任、表示、雇い入れ時の労働衛生教育を行わなければなりません。また、消防法により危険物の規制がかけられています。数量200kg以上で、届出を要する物質とされています。

3. ホルムアルデヒドの排出規制

ホルムアルデヒド排出規制値(都道府県条例)について

ホルムアルデヒド排出規制値について、日本国として統一的な規制はないものの(大気汚染防止法にも具体的な規制値はありません)都道府県条例により規制されているところもありますので、詳しくは、ホルムアルデヒドガス燻蒸殺菌を行う施設を有する都道府県など自治体に確認が必要です。

当社では、都道府県条例の内容に関するお問い合わせについては一切受け付けておりません。直接、地方自治体にお尋ねください。

【都道府県の一例】
都道府県 排出口 敷地境界濃度 地上到達濃度
ppm mg/m³ ppm mg/m³ ppm mg/m³
東京都 50 - - - - -
神奈川県 5 - - - - -
川崎市 - - - 0.13 - -
埼玉県 - - - 0.021 - -
愛知県 - 7 - - - -
京都府 2 - 0.02 - - -
岐阜県 - 0.3 - - - -
兵庫県 - - 0.1 - 0.03 -
当社では、ホルムアルデヒド分解装置「フォトラム」でホルムアルデヒドガスを分解し、排出しています。

化学物質排出把握管理促進法(化管法)

化学物質の環境汚染が世界的規模で起こっている現在、化学物質のリスクを的確に認識し管理することが必要になってきて、平成4年の地球サミットで採択された行動計画「アジェンタ21」に化学物質の管理の重要性が位置づけられ、更に、平成8年2月にOECDがPRTRの法制化を勧告したことをうけて、日本においても平成11年7月に法律を制定しました。(関連省庁:経済産業省)以下の2つがこの法律の制度です。

化学物質の排出量・移動量の届出の義務付け(PRTR制度)
化学物質等安全データシートの提出の義務付け(MSDS制度)

ホルムアルデヒドは第一種指定化学物質 (1-310)に指定されており、環境中への排出量及び廃棄量に含まれての移動量を年度ごとに把握して行政庁に届けなければならない法律です。ただし、年間取扱量が1トン以上ですのでホルムアルデヒドガス燻蒸殺菌に使用する量では、この法律に該当する施設はないと考えられます。

厚生労働省は世界保健機構(WTO)と同じ0.08ppm(0.1mg/m3)を定めています


厚生労働省はホルムアルデヒドの室内濃度指標値として、世界保健機構(WTO)と同じ0.08ppm(0.1mg/m3)を定めています(2002年3月15日)

【職域における室内空気中のホルムアルデヒド濃度低減のためのガイドラインについて】
このガイドラインにより、ホルムアルデヒドガス殺菌を行う施設でも、殺菌後は、0.08ppmになるよう求められると思います。当社では、フォトラムによりホルムアルデヒドガス分解を行っておりますが、施設壁面に付着したホルムアルデヒドを完全に除去するためには十分な室内換気をお願いしています。

厚生労働省は平成15年8月11日に以下の通達を出しました

【化学物質等による眼・皮膚障害防止対策の徹底について】
化学物質等(化学物質及び化学物質を含有する製剤その他の物)による眼・皮膚への障害は、化学物質等による職業性疾病全体の約半分を占めており、その件が近年増加するとともに、重篤な障害となった事例も発生しています。これらの健康障害の発生を防止するために、通達(基発第0811002号)を出しました。
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